2021-04-22
株式会社cotree

プロダクトデザインの定石はありますが、そのプロダクトを利用するシーンやユーザーの属性によって選択すべき手段は変わります。

cotreeという心の領域を扱うプロダクトだからこそのデザインのこだわりと、プロダクトづくりへの考え方を、前編に引き続きcotreeのデザイナーである長谷川さんと、COOの平山さんに伺いました。


オンラインカウンセリングサービス「cotree(コトリー)」
https://cotree.jp/

cotreeアセスメントコーチング
https://as.cotree.jp/

この記事に登場する人
平山 和樹
(Kazuki Hirayama)
長谷川 真澄
(Masumi Hasegawa)
cotree COO。上場ITベンチャー企業にて制作進行、マネジメント、新規事業立ち上げなどを担当。2018年よりマーケティング担当としてcotreeに参画。2019年よりCOOに就任。SNSでの発信を通して、信頼されるサービス運営に尽力。
デザイナー。美大卒業後、メーカーや制作会社などに勤務。2019年よりcotreeにて勤務、メンタルヘルスの文脈を考慮しつつ、ユーザーが楽しく無理なく使用できる設計を目指し、Webサイト・プロダクト制作などに関わる。

ユニバーサルデザインの"違和感"を言語化する中で見つけた、デザインの本質

ーー cotreeが扱う心の領域に興味を持ったきっかけを教えてください

長谷川さん: 家族に障害を抱えている人がいるので、ユニバーサルデザインの製品が家には多かったんですよね。だけれども、それらを当時美しいとは思えなくて。かといって、"美しいものは使いづらくて"。美大に入ったのも、もっと良いものを作りたいと思ったからなんですよね。なので、NPOやソーシャルグッドと呼ばれる領域にはもともと興味があり、ご縁もあってcotreeで働いています。

ーー cotreeのデザインを行う上で大事にしていることはありますか?

長谷川さん: ユーザーを限定しないことですね。たとえば、家族と小洒落た素敵な飲食店に行こうとして、そこのお店が階段でしか入れなくて、お店の扉がとても重たかったとします。そうすると、家族に車椅子の人がいる私たちはお店に入れなかったりして、疎外感を感じることもあったんです。他方でディズニーランドにいくと、この辺りの配慮がちゃんとされていて、どこに行ってもめっちゃ楽しめるんです。多分それは、私たちをセグメントで切っているからではなくて、ひとりひとりをユーザーとして捉えて設計しているからなんですよね。そんな感じでユーザーを限定せず、 "相手がどんな人であっても受け入れるデザイン" みたいなものをデザイナーとして突き詰めたいなと思っていて、そこはcotreeが向き合うテーマとも合っているなと。

ーー "相手がどんな人であっても受け入れるデザイン" を実現するためにやってきたことはありますか?

長谷川さん: いろんな製品を、自分の家に置きたいかどうかの基準で考えてみたんです。そして、置きたいものと置きたくないものの差分は何なのかを一個一個分析していきました。機能性だけだと自分の家には置きたくなくて、他方で洗練されすぎていても使いづらかったりで。”情報が適切に伝えられていること”や、”間違っても巻き戻れる仕組みがあること”が大事なんだなと。iPhoneとか医療現場の製品とかもそうですよね。

心の領域を扱うからこそ大切な、"正しく間違えられる"デザイン

ーー 長谷川さんの目から見て、cotreeはどのようなプロダクトですか?

長谷川さん: cotreeは端的にいえばECサイトにすぎません。ただ、ふつうのECサイトと大きく違うのは、ユーザーさんの迷いを許容するという部分です。

ーー ECサイトであれば素早く決断してもらうための動線設計が基本ですが、あえてそれをしないということですか?

長谷川さん: はい。cotreeではそこを逆に捉えたいなと。決断できないことは悪ではないと考えていて、迷ったり、選択肢のなかから試行錯誤を繰り返してもらって、その上で決断してもらうほうが良いなと。

ーー 迷っても良いというUIデザインは通常はあまり行わないと思いますが、どのような考えをもとに作っていっているのでしょうか?

長谷川さん: cotreeでは "正しく間違えるという考え方" を重視しています。これらは Defensive Designと呼ばれる分野なのですが、それらを意識しながら、その決断がユーザーさんのためになるかということは強く考えるようにしています。

ーー 具体的に気をつけているところはありますか?

長谷川さん: ユーザーさんが自分の "現在地" をちゃんと分かるようにしていますね。例えば、何かを決断させる画面があるとしたら "その次" にどうなるのかを示してあげたりして、そのユーザーさんが自分の現在地を把握した上で決断していけるようにしています。

カウンセリングのステータスを表示する画面の例

カウンセリングのステータスを表示する画面の例

ーー 当然のように話されていますが、かなり難易度の高い印象を受けました。これらの思想を他のメンバーにインストールしていくために行ってきたことはありますか?

長谷川さん: cotreeのメンバーには、ただアウトプットとしてのデザインを見せるだけでなく、どのような思想でこのアウトプットになったのかを私自身のこだわりも含めて伝えるようにしています。一つ一つの部分については、かなり具体的に話していますね。デザイナーに限らず、プロジェクトのメンバーにはフラットに話を聞いて進めていくことが多いですね。

"決断力のある人"と、より良いプロダクトを生み出していきたい

ーー 端的に、どんな人と一緒に働いていきたいですか?

平山さん: "ビジョンとビジネス" の双方を大事に出来る人が良いといったことをよくいっています。「cotreeの世界観が好きです!」といって頂けることは嬉しいのですが、世界観が好きというだけでは難しい部分があって。ユーザーさんに良い体験を提供できるように、ビジネスとしての事業運営とサービスのビジョンの両方を大切に出来る人だと良いなと思います。

長谷川さん: やりたいことを実現するためのスキルは勿論必要だと思います。その上で、ユーザーさん、セラピストさんといったそれぞれ違った属性を持つステークホルダーを大事にしつつも、現実問題としては今この瞬間 "誰" を優先するかを決めなければならないことがあります。その意味では、"決断力" をもって、"時間軸と共に意思決定をしていける人" だと良いですね。また、cotreeはまだまだ未熟な部分が多いので、「この技術やスキルをcotreeにインストールせねば」みたいな気持ちでいてもらえると、お互いハッピーだと思います。

この記事を書いた人
koyo
bosyu / bosyu Jobs / Jobs Primeのプロダクトマネージャー。プロダクトについての薀蓄を語ったりするのが得意。だいたいヴァーチャルの世界で生きています。
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