2021-04-23
2021-04-23

プレーヤーも増えて競争も激化する中、2020年に大きく躍進したフードデリバリー市場。時短営業が続く飲食店の売上の支えにもなり、フードデリバリーは消費者と飲食店をつなぐインフラとして確立したと言える。本稿では現在のフードデリバリー市場の動向と業界の課題について解説する。


市場規模は前年比150%成長で6,000億円を超える

毎年成長基調にあった日本におけるフードデリバリー市場は、コロナ禍で外食が難しかった2020年に大きく躍進を遂げた。調査によると、2020年の市場規模は6,264億円となり、前年の4,183億円から150%成長、成長率の比較では前年比の20倍以上となった。

出前市場規模推移(億円)

出前市場規模推移(億円)

前年同月比ベースでも成長は継続しており、2021年1月で63%、2021年2月で72%と二桁成長が続いている。本稿執筆の2021年4月現在、緊急事態宣言は解除されているものの、引き続き飲食店への時短要請は継続しており、引き続き高い成長速度で推移するとみられる。

外食業態売上前年同月比(%)

外食業態売上前年同月比(%)

フードデリバリーサービスの利用経験は、2019年が29.9%であったのに対し、2020年は46.4%と大きく伸張した。加えて利用頻度についても、週に1回程度が11.4%(前年比+7.6pt)、1ヶ月2〜3回程度が16.6%(前年比+6.7pt)と大きく伸び、月に1度以上利用する層は5割以上に達した。

1年以内のインターネットでのフードデリバリーサービス利用

1年以内のインターネットでのフードデリバリーサービス利用

フードデリバリーサービスを利用する頻度

フードデリバリーサービスを利用する頻度

飲食店の営業自粛や時短営業の外部要因に加え、各フードデリバリー事業者の広告出稿増で認知が進んだことが、新たな顧客の掘り起こしや利用促進に繋がったと考えられる。

アメリカの大手プレーヤーの売上高は倍増、専業のDoorDashが市場をリード

飲食市場に占めるフードデリバリーのん割合が日本の倍以上ある、アメリカはさらに成長が続く。2021年2月時点の売上高は、前年同月比219%と日本よりもさらに高い成長率を誇っている。

そのうちDoorDashが5割超を占め、Uber Eatsの21%、Grabhubの16%と続く。

米国主要フードデリバリー事業者の売上推移

米国主要フードデリバリー事業者の売上推移

国土の広いアメリカらしく、都市ごとにプレーヤーのシェアが異なるのも特徴的である。DoorDashは全体的に高いシェアを誇るが、サンフランシスコが75%と突出してシェアが高い。逆にマイアミではUber Eatsが54%と過半数を超え、DoorDashを大きく上回る。Grubhubはかつてはニューヨークの過半数近いシェアを誇ったが、現在はシェアを落としており、厳しい状況にある。

米国フードデリバリー事業者の地域別シェア

米国フードデリバリー事業者の地域別シェア

なおアメリカだけだと現在はDoorDashが優位であるが、豊富な資本を武器に海外の主要都市に展開を図るUber Eatsの方が、売上の総額では大きくリードしている。そのアメリカ以外に目を向けると、欧州主要プレーヤーのJust Eat TakeawayがGrubhubを買収したり、直近では同じく欧州のDeliverooが上場を果たしている(なお記録的な下落で話題にのぼっている)。

今後より大陸を跨いだ合従連衡はより活発になってくるであろう。

国内シェアはUber Eatsが27.8%、出前館が16.6%で次ぐ

日本市場のプレーヤーに話を戻すと、現在は最も利用されているフードデリバリーサービスは直営店群で32.8%であるが、前年比で▲7.7ptとなっており、大きく数字を落としている。次いでUber Eatsが27.8%だが、前年比+15.8ptと大きく伸ばしている。3番手に国内資本の出前館が入るが、前年比で▲4.5ptとなり直営店群と同じく数字を落としている。

最も利用しているフードデリバリーサービス

最も利用しているフードデリバリーサービス

利用シーンや注文店舗によって、実際のカスタマーは複数のサービスを使い分けるケースも多く、何より市場が大きく拡大しているので、いずれのプレーヤーも売上は伸びているはずだ。一方で第一想起の面で見ると、Uber Eatsが存在感を伸ばして一人勝ちしているといえるだろう。

また前述のプレーヤー以外でも、国内勢だとChompyやmenuなどの新興企業、海外勢だとフードネコやWoltなど、プレーヤー・サービスもさらに増加した。

法的な面では貨物自動車運送事業法の取扱の整備が進み、タクシー事業者が食料や飲料を輸送することが可能になった。すでに日本交通やS.RIDEなどがフードデリバリータクシーを行っており、プレーヤーに加えフードデリバリーの配達チャネル自体も多様化が進んでいる。

配達員は「労働者」なのかどうか

フードデリバリーが当たり前になる中、そのサービスを支える配達員に関する議論は国内外で続いている。配達員は企業と契約する個人事業主という立て付けでありながら、実際は業務において熟練が不要であるため、労働者として扱われるべきなのでは、という議論である。

実際に個人事業主でありながらUber Eatsの配達員は、ウーバーイーツユニオンという形で労働組合を組織している。Uber Eats側では、「配達員は労働者ではない」との主張で団体交渉を拒否しているが、報酬体系の変更により報酬引き下げ騒動が起こるなど、配達員への説明責任が問われる事態が発生している。

2021年2月には業界の課題を解決するため、主要プレーヤーが加入した日本フードデリバリーサービス協会が設立された。急激な市場拡大が進む中、配達員の労働者性や輸送中の事故などの課題の解決と、利用者の安全安心なサービスの確立が、どのように両立されていくか注目したい。

この記事を書いた人
tkrfjwr
bosyu / bosyu JobsのCSやオペレーションを担当。マンガと犬猫とキャンプが好きです🏕
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