2021-04-28
株式会社mikan

500万ダウンロード以上利用されている人気英単語アプリ「mikan」には、継続率高くサービスを利用してもらうための、プロダクトとして面白い仕掛け/施策が溢れています。今回のインタビューでは、CEOの髙岡さんおよびエンジニアの星さんを相手に、mikanのプロダクトの魅力を現役のプロダクトマネージャー目線で深堀りします。


英単語アプリmikan: https://mikan.link/

この記事に登場する人
髙岡 和正
(Kazumasa Takaoka)
星 遼平
(Ryohei Hoshi)
CEO / Software Engineer。東京大学在学中、2014年に株式会社mikanを共同創業。事業責任者として英単語アプリmikanの開発に従事。2019年3月の同社分社化を経て、代表取締役に就任。経営に加え、開発・Bizdev担当。
Software Engineer。株式会社Gunosy入社後、広告事業での開発・運用を経て、新規事業立ち上げに携わる。退職後、高岡との”Find Your Why”がきっかけにmikanへ参画。サーバーサイドとインフラ領域全般の開発を担当。

"徹底的に褒める" 設計の裏にある、開発者の信念

-- 英単語アプリのmikanを触っていると、沢山褒めてくれて楽しいです。この"褒め"は、最初から狙って設計されたんですか?

髙岡さん: はい。最初からそこを狙っています。ここには「褒められた方が絶対に伸びる」という、作っている人の意志が込められていますね。

-- ちなみに、初期はどんな感じだったんですか?

髙岡さん: mikanは10問の小テストを繰り返す形で学習を進めていくのですが、最初は全問正解したら "天才" と画面に表示されるくらいだったんですよね。ただ、9問正解なら "秀才" だったり、2問正解でも "鬼才" みたいな感じで遊び心は入れていて。0問でも "動物のサイ" を表示したりして。こんな感じで何らかの形で褒めるようにしていたら、 "褒め" についてのユーザーさんからのレビューが結構きましたね。

-- 褒めに関するレビューは多いんですか?

髙岡さん: 今でも結構来ますし、リリースした当時はよく来てて。「褒められるのが嬉しい」とか「どんなに間違えても、けなすことがないのが良い」といったレビューをいただけていて。そんなことも受けて、褒め要素をどんどん増やしていきました。

mikanを利用していると本当によく褒めてもらえる

mikanを利用していると本当によく褒めてもらえる

髙岡さん: そもそも、勉強するっていうプロセス自体がめっちゃ偉いじゃないですか。そのプロセス自体を褒めてあげれば、継続にも繋がって、アウトプットにも繋がっていくよねと思って、mikanでは褒め続けるようにしています。

"ログとダッシュボード" がすべて。KPIを全員が意識できるチーム作り

-- サービスのKPIには何を設定されていますか?

髙岡さん: いわゆるリテンションレートを見ています。ただ、単純なアプリ起動回数だけではなくて、"アプリを起動して学習したかどうか" を見るようにしていますね。

-- この辺りのKPIは、エンジニアやCSのメンバーなども意識されているんですか?

髙岡さん: ここは意識できるようにしてますね。週に一回一時間くらい使って会社の方向性やKPIを共有する時間を取っていたり、SlackのKPIチャンネルに、日々の各種数値が流れるようにもしてますね。

-- KPIや数値の周知徹底は大事なものの、後回しにされがちです。数値共有をチームとして意識するようになった背景をお伺いしたいです。

髙岡さん: 実は起業して暫くしたタイミングで、半年間くらいmikanではなくて別の事業をやっていた時期があるんです。弁当の予約アプリやサラダの配達アプリを作っていたりとか、半年間くらい色々模索して。ただ、これらはあまりうまく行かなくて、結果的にmikanに注力することになりました。その半年間のいろんな試行錯誤の学びとして、ログがとれて、ダッシュボードがあって、その数値が全てのスタートなんだなと実感して。

朝会でのKPI確認の様子

朝会でのKPI確認の様子

-- めちゃくちゃ大事ですよね。改善の初手は間違いなくデータの可視化ですよね。

髙岡さん: ですね。紆余曲折を経て半年後にもう一度mikanに注力することになったときは、ログ入れる、ダッシュボードつくる、からはじめて。そこからはもう癖づいている感じです。数字を見ていないと、何をやってるかわからないというか、どっちに進んでいるかわからないですからね。結構すごいスピードで開発が進んでいても、後ろに進んでいたら意味がないですし。

-- ちなみに、普段はどんなツールを使ってデータを可視化されていますか?

髙岡さん: redashというBIツールを使っています。クエリも毎日沢山実行しているので、ホスティングのプランを使ってますね。

※ redash
https://redash.io/

※ クエリ
ここでは、データベースからデータを抽出する処理の意

-- エンジニア以外のメンバーもクエリを書くんですか?

髙岡さん: 実際にクエリを書けるメンバーは、今だとまだエンジニア中心なので、ここは徐々にチーム内で民主化していきたいですね。直近入ったビジネス系のメンバーには、ハンズオンでSQLを教えたりしています。

チーム間でのフォローを促進するための、"朝・昼・夕"の共有の仕組み

-- 組織図を見る限り、PMの役割の方がいないように見えました。これは、あえてそのようにされているのでしょうか?

星さん: おっしゃるように、今はPMの役割を担う人がいない状況です。意図的においていないというよりは、リソースが足りていない部分が大きいのです。現在は髙岡がこの部分の動きをしていますね。

-- 普段の開発はどのような感じで行われているのですか?

星さん: 開発項目や "Why" にあたる部分、どんな機能にしていくのかといった部分は、髙岡がドキュメントにまとめていってくれています。計画の見積もり以降はエンジニアチームが進めている形です。

-- 日々のチームの運用はどのような感じですか?

星さん: 日々の運用としては、朝・昼・夕に簡単な進捗共有を行うようにしています。朝は今週のタスクと今日やるタスクを各人が投稿した後、朝会でこれらを共有しています。昼は朝に言ったことがどの程度達成できているかをパーセンテージで報告するようにしていて、短いスパンでタスクを終えられるか、終えられないのかをわかるようにしています。夕方も似たような感じです。

-- 朝・昼・夕の共有を行うのは珍しいと思うのですが、何か経緯はあるのでしょうか?

星さん: mikanでは四半期の目標、月の目標をそれぞれ定めているのですが、目標を達成できないことが何回かあって。そのたびに試行錯誤して色々とやり方を変えた結果、今のような運用に落ち着いた形です。

-- 細かく共有していった方が進めやすかったという感じでしょうか?

星さん: そうですね。その方がチーム間でヘルプにも入りやすいですし。過去の話ですが、ヘルプを求めずに週末夜通しで開発した結果、パフォーマンスが出ないメンバーがいたこともあったりで。勿論そういうことは防ぎたくて。ヘルプが必要なときはそれを共有できるようにして、適宜チーム間でフォローが出来るようにしています。

朝にタスク内容を投稿しているフォームの実物

朝にタスク内容を投稿しているフォームの実物

-- mikanは色々な出版社の英単語帳がアプリ内に収録されていますが、多数の出版社との調整はどのように行われたのでしょうか?

髙岡さん: ビジネス側の目線ですと、出版社さんとしてもKindleや他の英単語アプリへの対応等のデジタル活用の動きがあったり、mikan自体もきちんと成長できていたので、そこまでハードな調整があったわけではなかったです。

-- エンジニア目線だとどうでしょうか?

星さん: そもそもとして、出版物をデジタル化するのは難しいんですよね。フォーマットは勿論各社それぞれ違うわけで。なので、最初はスプレッドシートのデータをmikan形式のものに変換するスクリプトを組んでやっていましたが、入稿までは職人芸のような部分がありましたね。現在はコンテンツチームを社内に作っていて、そのチームの誰でも入稿が出来る形にシフトしていっています。

-- ちなみに、入稿時のミスはどのように防いでいるのでしょうか?

星さん: mikanではテキストだけでなく音声データも扱っているのですが、そこも含めて本番リリース前にQAチームにて確認するようにしています。今のところは大きな問題なく、運用できています。

後編に続きます)

この記事を書いた人
koyo
bosyu / bosyu Jobs / Jobs Primeのプロダクトマネージャー。プロダクトについての薀蓄を語ったりするのが得意。だいたいヴァーチャルの世界で生きています。
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